Flexibility

本日から、国交省と米国元Navy Sealsメンバーから構成された安全対策チームメンバーとの間に入り東京オリンピック2020に向けた、鉄道網の安全対策、脆弱性調査の通訳を担当しています。

そこで問われる能力は、通訳、という言語変換技術だけではなく、交渉術も問われます。

つまり、相手が言わんとする意図、本心を汲み取って、それが先方にとって難題だったり、お願いをせねばならぬような場合、通訳者自らが通訳者でありながら、ネゴシエーターとなり、相互の妥協点をお互いの言語を通じて見出しながら、提案をしつつ、双方にとって最善のコミュニケーションを図っていく、ということが要求されます。

通訳学校で、こうしたノウハウまで教えてくれるかどうかわかりませんが、こうした概念は、私は現場たたき上げ経験で培ってきました。

そのような通訳者であることのほうが、結果として良いリゾルトに導くことができるからです。

もちろん、逸脱した行動は図々しい、余計なお世話、と取られてしまう危険性もありますから、通訳者という立場でありながら、個人的な感情を介入せずに、どこまで日本語スピーカー、英語スピーカー両者の気持ちを平等に汲み取って通訳できるのか、そのバランスを見極めながら、必要なときには臆せずネゴシエーター、コーディイネーター兼通訳者、というスタンスを取る必要がある、ということが大切なように思います。

そして、やはり、笑顔やアイコンタクトは大事だな、通訳者としてもこれは外せない技術だろうな、と私は断言します。

どんなに深刻なトピックであったとしても、そうした緊迫した時間が永遠に続くことはありません。ふとした瞬間にアイコンタクトで「Everything all right. Everything is under control」ということを伝えるために、私は目だけ微笑む、というようなテクニックを使うことがよくあります。ウィンクしちゃうこともありますね。(対、英語スピーカーにのみ、通用するテクニックではありますが・・・笑)。

日本サイトの方々へは、上下関係や肩書きを重んじる、という日本文化を汲み取りながら、そうした言葉使いや態度を通訳者としても示しながら、双方のコミュニケーションをより円滑に、そして、何よりも通訳者の大きなミッションは、単に言語を変換するだけではなく、両者のコミュニケーションの代理を務めることによって、プロジェクト全体を成功に導くこと、これに尽きます。

ですから、かたくなに、通訳者ですから、必要以上の業務はできません、とか、通訳者としてジョブオファーを受けていますから、ちょっとそういったご要望にはお答えできかねます、、といった現場判断よりも、むしろ、要望があって、自分が動くことによってプロジェクト全体がサクセスストーリー展開できると判断した、あるいはそういったフレキシビリティー(柔軟性)を要求される現場だとしたら、やはり、そこは受けて立つべきだと、私は考えます。そういう気持ちで、常に、バイリンガルMCとしても通訳者としても、現場に立っています。

もっというと、そういった柔軟に対応してくれる通訳者、バイリンガル司会者を求めるクライアントさんが増えてきている、という実情が、実はあるのです。

なので、敢えてこうしてここでブログとして活字に残そうと思ったわけでございます。

では、そうした経験値はどうやって培ってゆけばいいの? コーディネーターやネゴシエーターなんて、自分には務まるとは到底思えないし、、、という方も多いのです。

でも、こうした任務の一番大切なポイントは、「配慮」「気配り」「ホスピタリティー」です。

電車の中で泣いてる赤ちゃんがいて、赤ちゃんのお母さんもイライラしてて、赤ちゃんはさらにそれを察知して大泣き、みたいな場面があったとしたら、もし、その場に居合わせていたら、お母さんが窓の外を見ているスキにでも、赤ちゃんの手をギュって握ってあげたり、変顔して意識をそらしてあげたり、、っていうことを、、、、

・・・・したくなりませんか?笑。

あるいは、駅構内で、気分悪くて倒れた人がいたら、大丈夫ですか?って声かけたく・・・・

・・・・・・なりませんか? 見て見ぬフリして通り過ぎてしまいますか?

要するにそういうことです。

困っている人がいたら、無償の愛で手を差し伸べる精神。

これって、誰にでももっているものだと思うし、女性の皆さんであるならば、出産、結婚経験有無にかかわらず、本能として持っている女性特有の能力でもあったりします。だから、それを最大限に、現場で通訳者として、バイリンガル司会者として生かしていく、そういうことかな、と自分では思っています。

だから、具体的な経験値がなかったとしても、他者に対する気配りや配慮が現場の成功度を大きく左右すると、感じています。

さぁ、現場は今週いっぱい続きます。

一週間も連続してフルタイムでの現場なんて、何年ぶりでしょうか。。何十年ぶり?笑。

MC業だけでは生計たてられなくって、藤沢でワンコと二人貧乏生活してるころ、日本エリクソンという会社で当時、開発されたばかりのBluetooth(今では携帯に当たり前についている機能だけど・・・)の技術者向けのマニュアル翻訳、というのを派遣社員として半年くらい勤めていたことがあって、たぶんそれ以来・・・大笑。。。

さぁ、明日も朝早いです。配慮、気配り、ホスピタリティーの精神と共に、現場通訳、柔軟な対応でがんばります!難しい単語や聞いたことない単語も出てきたり・・タフな現場ですが、これも次のステップに行くためのチャレンジです。暗記力がすこぶる低レベルなので、手の内側とかに難しい単語をマジックで書いております。笑。